擘
擘
名詞
標準
文例 · 用例
先生がお玉が池時代に有してゐた千戸の病家は、先生をして当時江戸流行医の巨擘たらしむるに足るものであつた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
外史氏山陽が後に詠んだのに、|将士銜枚|馬結舌|桶狭如桶雷擘裂|驕竜喪元敗鱗飛|撲面腥風雨耶血一戦始開撥乱機万古海道戦氛滅唯見血痕紅紋纈笠寺の山路ゆすりしゆふたちの あめの下にもかゝりけるかな これは幕末の井上文雄の歌である。
— 菊池寛 『桶狭間合戦』 青空文庫
さて、弥勒世尊無量の人と耆闍崛山頂に登り、手ずから山峯を擘く。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
其勇ましい唸き聲が、眞上の空を擘ざいて、落ちて四匝の山を動かし、反つて數知れぬ人の頭を低れさせて、響の濤の澎湃と、東に溢れ西に漲り、甍を壓し、樹々を震わせ…………………………弱り弱つた名殘の音が、見えざる光となつて、今猶、或は、世界の奈邊かにさまようて居るかも知れぬ。
— 石川啄木 『漂泊』 青空文庫
一彎の長汀ただ寂寞として、碎くる浪の咆哮が、容赦もなく人の心を擘ざく。
— 石川啄木 『漂泊』 青空文庫
ヴントの如きはその巨擘である。
— 西田幾多郎 『善の研究』 青空文庫
……」 けれどもその声が止むか止まぬに、もうひとつ別の、松永博士の、鋭い擘くような叫び声が、激しい跫音と共に、闇の中を転ろげるように戸口のほうへつッ走った。
— 大阪圭吉 『三狂人』 青空文庫
吾輩は今日より回想するに福沢諭吉氏は一方の巨擘にして国富論派を代表したるや疑うべからず。
— 陸羯南 『近時政論考』 青空文庫