捏ち上げ
でっちあげ
名詞
標準
文例 · 用例
あの鼓の初めの持ち主の名が綾姫といったもんですから謡曲の『綾の鼓』だの能仮面の『あやかしの面』などと一緒にして捏ち上げた碌でもない伝説なんです。
— 夢野久作 『あやかしの鼓』 青空文庫
新造語も亦其通りで、二つの漢字を並べて、無雑作に捏ち上げられたものであつてはならぬ。
— 折口信夫 『古語復活論』 青空文庫
寄木細工式の繁瑣な神学を捏ち上げた人達、朝に一条を加え、夕に一項を添えて、最後に一片の死屍にも似たる、虚礼虚儀の凝塊を造り上げた人達――それ等はイエスを冒涜者と見做し、神を傷け、神の掟を破る大罪人であると罵った。
— SPIRIT TEACHINGS 『霊訓』 青空文庫
兎にも角にも、一つの事件を嗅ぎ出すと、柄の無いところに柄をつけ、半分以上は誰かに対する嫌がらせの記事を、三段でも五段でも捏ち上げる特別な腕を持っていたのです。
— 第四次元の恋 『奇談クラブ〔戦後版〕』 青空文庫
「お前の話しがお縫様屋敷の話、みんながみんな嘘でもあるめえ」「うん」と半九郎苦笑をし「今辻斬がはやるから、辻斬の武士を一枚入れ、染吉の朱盆が値を呼んだというからそこで、そいつを早速取り入れ、お縫様屋敷の物語りを、チョッピリ加えてデッチ上げたってものさ」「お縫様屋敷の真相は?
— 国枝史郎 『染吉の朱盆』 青空文庫
何か特別な「美」をデッチ上げることにサンタンたる苦心ばかりしているが、元来そんな「特別な美」なんてものはありえないから、其処に表現されているものは、唯重苦しい苛々した気持ちだけなのだ。
— ―― 牢獄の夫より妻への愛の手紙 ―― 『新しき夫の愛』 青空文庫
その意味において所謂ラショナリズム(デカルト的機械論が之を代表している)に真理はなく、そうした合理的な推理から初めて辛うじてデッチ上げられたユートピアとしての理想主義(観念論)も、徹底した機械論的ラショナリズムとしての唯物論と同様、全くただの観念にしか過ぎないのであって、真理と何の関係もなかろう。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫
何十人に素顔をさらしたところで、何十人の印象を合計して正解のでる性質のものではなく、似て非なる架空の何者かを現実的にデッチ上げて、それに限定を加えるだけ、事態をアイマイにしているようなものだ。
— 坂口安吾 『ヤミ論語』 青空文庫