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摺り下ろし

すりおろし
名詞
1
標準
文例 · 用例
駄目でさ、だってお前さん、いきなり引摺り下ろしてしまったんだから、それ、ばらばら一緒に大勢が飛出しましたね、よしんばですね、同類が居た処で、疾の前、どこかへ、すっ飛んでいるんですから手係りはありやしません。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
涙ぐましく口の中でこういいながら、そうなってくると俺の首根っ子を掴んで高座から引き摺り下ろし、さんざ悪口のありったけをいったあの宮志多亭の雷隠居も、俺にとっては大きに大恩人の一人かもしれない。
正岡容 小説 圓朝 青空文庫
「そうだ」 棚の上から、引摺り下ろしたのは、古い道具箱、――埃だらけの中に、鋸も鉋も鑿もありますが、一と目で、捜している物がないと判ると、軽い失望の様子を見せましたが、すぐ取って返して、自分が今まで腰をおろしていた、新しい桶を起して見ました。
お民の死 銭形平次捕物控 青空文庫
『待ちかねておざったろう』 駒を寄せると、熊楠は、紫の太紐を解いて、絶えず宥るもののように抱えていた八雲の体を、鞍つぼからそっと摺り下ろした。
吉川英治 篝火の女 青空文庫
武者の手が、大納言を地に引き摺り下ろした。
吉川英治 親鸞 青空文庫
その凸点だけを残したほかは、全部樹海や、大裾野の緩斜地で、すりおろしのわさびの、水々しい緑にひたっている。
小島烏水 不尽の高根 青空文庫
葉子は小さく舌打ちして、為替ごと手紙を引き裂こうとしたが、ふと思い返して、丹念に墨をすりおろして一字一字考えて書いたような手紙だけずたずたに破いて屑かごに突っ込んだ。
有島武郎 或る女 青空文庫
得意な皮肉でも思い存分に浴びせかけてやろうかと思ったが、胸をさすりおろしてわざと落ち付いた調子で、「いゝえちっともお見えになりませんが……」 と空々しく聞こえるように答えた。
有島武郎 或る女 青空文庫