転下
てんした
名詞
標準
文例 · 用例
例えば馬の鞍の形をなせる曲面の背筋の中点より球を転下すれば、球の経路には二条の最大公算を有するものあるべし。
— 寺田寅彦 『自然現象の予報』 青空文庫
大正池からそこまで二里に近い道程を山腹に沿うて地中の闇に隧道を掘り、その中を導いて緩かに流して来た水を急転下させてタービンを動かすのである。
— 寺田寅彦 『雨の上高地』 青空文庫
「お移転下さいますなら、失礼ではございますが、私の計らひで百円ばかし差上げてもよろしいかと存じまして。
— 大正八(一九一九)年 『茶話』 青空文庫
その蛙が飽き足りて食わぬとなると、今度は蠅が飛び入りて、この蛙の辺にちょっと留まり、更に転下して岩の上の蛙の口に堕つる事、魅力もて吸わるるごとし。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
急激に転下して行くような彼の若い生涯は、仮令十年の友にも勝るほどの親しみはあっても何と言ってもまだ交りの日の浅い清之助と枕を並べて、この茶の間の天井の下に一緒に寝ることを不思議にさえ感じさせた。
— 島崎藤村 『桜の実の熟する時』 青空文庫
現在自分の口から言出して置きながら、人に看透かされたと思うと直ぐコロリと一転下して、一端口外した自家意中の計画をさえも容易に放擲して少しも惜まなかったのはちょっと類の少ない負け嫌いであった。
— 内田魯庵 『二葉亭余談』 青空文庫
と人々が気がついたときは、左馬之介の身体は岩石落とし……削りとったような大断面を鞠のごとくに転下して、たちまち山狭の霧にのまれ去った。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
「革命的エネルギー」という言葉があるが、それは一種のポテンシャル・エナジーで、転向・転下によって、このエネルギーがディスチャージ(?
— 戸坂潤 『社会時評』 青空文庫