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愴惶

愴惶
名詞
1
標準
文例 · 用例
そして、咄嗟の逆転に何が何やら判らず、ひたすら狼狽しきっている熊城等を追い立てて、伸子の身体を愴惶と運び出させてしまった。
小栗虫太郎 黒死館殺人事件 青空文庫
調査が終ると、三人は愴惶に石棺の蓋を閉じて、この圧し狂わさんばかりの、鬼気から遁れていった。
小栗虫太郎 黒死館殺人事件 青空文庫
悟浄は強く水を蹴って、泥煙を立てるとともに、愴惶と洞穴を逃れ出た。
中島敦 悟浄出世 青空文庫
彼は戦き震え、面をそむけ、愴惶として遠く逃げ去って、再び帰って来なかった」       * マージ教僧6の諸巻には――鉄表紙の、憂鬱な、マージ教僧の諸巻には、世にもいみじき物語がある。
――神話 沈黙 青空文庫
またも湧き起る爆笑と、続いて起るゲラゲラ笑いとを、華やかに渦巻くジャズの旋律と一緒にフロックの背中に受け流しながら、愴惶として階段を駈け降りた。
夢野久作 少女地獄 青空文庫
落第のことでも純吉は、大いに狼狽して、一寸世を味気なく思つたりしながら愴惶として、先づ祖母の許へ走つた。
牧野信一 明るく・暗く 青空文庫
」とばかりに空々しくうけ流しながら愴惶と潜り戸を脱け出た。
牧野信一 公園へ行く道 青空文庫
彼は常々夥しい近視眼で、真向のものをねらふやうな前かがみに愴惶しい大股ですすむのが癖だが、まはりがそんなけしきであつたせゐか、その姿が、如何にも危急を告げる非常な人物の動作であるかのやうに私の眼に映つた。
牧野信一 創作生活にて 青空文庫