黠
黠
名詞
標準
文例 · 用例
世評許り気にして居る、狡黠な作者が能く云ふ、試作などいふ曖昧な歌が、石川君の歌には一首も無いのである。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
また鼠だ、奸黠なる鼠の豫言者よ、小畜よ。
— 泉鏡太郎 『間引菜』 青空文庫
諸王は国中に臨きて、京に至るを得る無かれ、と云えるは、蓋し其意諸王其の封を去りて京に至らば、前代の遺※、辺土の黠豪等、或は虚に乗じて事を挙ぐるあらば、星火も延焼して、燎原の勢を成すに至らんことを虞るるに似たり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
自分を信用させようと骨を折っている、男の狡黠い態度も蔑視まれたが、この男ばかりを信じているらしい、母親の水臭い心持も腹立しかった。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
あれ以来、ますます人相にも奸黠の度を加えてきた、セルカークを憫むようにながめている。
— 地軸二万哩 『人外魔境』 青空文庫
三伝が生きて――もしそうだとしたら、たぶんあるにちがいない奸黠な綾のなかに、船場の遺書も自分の苦悶も、みな筋書のようにして織り込まれているのではないだろうか) と、いつか彼には、莫迦げたその物語が光明になるのではないかと信じられてきた。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫
彼は普通自分の動機や行為を、よく吟味して見て、其あまりに、狡黠くつて、不真面目で、大抵は虚偽を含んでゐるのを知つてゐるから、遂に熱誠な勢力を以てそれを遂行する気になれなかつたのである。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
彼は普通自分の動機や行為を、よく吟味してみて、そのあまりに、狡黠くって、不真面目で、大抵は虚偽を含んでいるのを知っているから、遂に熱誠な勢力を以てそれを遂行する気になれなかったのである。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫