済し崩し
なしくずし
名詞
標準
文例 · 用例
現代詩壇に於ける自由詩は、その始め、実に新体詩から解体して、次第に済し崩しになったのである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
中でちょっと注意をひいたのは、飯炊きのお三の父親は、根津の大工で、重三郎に借りた金のことから、二年前大川へ身を投げて死に、お三はその借金を済し崩しに払うために、給料のない一生奉公をさせられるのだということでした。
— 仏敵 『銭形平次捕物控』 青空文庫
お店を休んで保養に行くんですもの」「転地から帰って来ると夏中只で働かなければなりません」「その時は前借りをして、チビ/\済し崩しにすれば宜いのよ」「お母さんまで現金ですね。
— 佐々木邦 『脱線息子』 青空文庫
一と頃騷がしかつた住宅難の解決がこんな風にしてなしくづしに付いて居るかと思はれた。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
ブリキの鐵瓶に入れて、ゴトリ/\と煮て、いや、うでて、そつと醤油でなしくづしに舐めると言ふ。
— 泉鏡太郎 『湯どうふ』 青空文庫
この敗戦も、云はば、なしくづしの日本の革命だつたのだと、富岡は起重機のぎりぎりと巻きあげられるのを、呆んやり眺めてゐた。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫
……しかし、そんな連中は、その後、世間的には黙つてゐても、自分だけで自分の身体で以て昔の借金をなしくづしに返してゐるかも知れないよ。
— 三好十郎 『浮標』 青空文庫