馥
馥
名詞
標準
文例 · 用例
あなたの、菊の花の絵は、いよいよ心境が澄み、高潔な愛情が馥郁と匂っているとか、お客様たちから、お噂を承りました。
— 太宰治 『きりぎりす』 青空文庫
艶やかな濡髪に、梅花の匂|馥郁として、繻子の襟の烏羽玉にも、香やは隠るる路地の宵。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
この編の記者は、教頭氏、君に因って、男性を形容するに、留南奇の薫|馥郁としてと云う、創作的|文字をここに挟み得ることを感謝しよう。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
白粉の香は座蒲団にも籠ったか、主税が坐ると馥郁たり。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」白地を被って俯向けば、黒髪こそは隠れたれ、包むに余る鬢の馥の、雪に梅花を伏せたよう。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
こうして親しげに話していて、隣に座っている娘と、何か紙一重|距てたような、妙な心の触れ合いのまま、食後の馥郁とした香煎の湯を飲み終えると、そこへ老主人が再び出て来て挨拶した。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
わたしの待つた消滅の薫りが馥郁としてわたしの骨に匂ひ出した。
— 岡本かの子 『雪』 青空文庫
高雅で馥郁として爽かにも物錆びた匂ひがする。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫