日影
ひかげ
名詞
標準
文例 · 用例
三時頃の薄い日影が庭半分にさしていて、梅の下には蕗の薹が丈高くのびて白い花が見えた。
— 伊藤左千夫 『守の家』 青空文庫
日影うらうらと霞みて朝つゆ花びらに重く、風もがな蝴蝶の睡り覺ましたきほど、靜かなる朝の景色、甚之助子供ごヽろにも浮き立て、何時より早く庭にかけ下りれば、若樣、と隙かさず呼びて、笑顏をまづ見する庭男に、其まヽ縋りて箒木の手を動かせず、吾助お前は畫がかけるかと突然に問ふ可笑しさ。
— 樋口一葉 『曉月夜』 青空文庫
さうして私の心はなみだをおぼえるいつもおとなしくひとりで遊んでゐる私のこころだこの心はさびしいこの心はわかき少年の昔より 私のいのちに日影をおとしたしだいにおほきくなる孤獨の日かげおそろしい憂鬱の日かげはひろがる。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
ああこの大いなる愛と無心のたのしき日影たのしき浪の彼方につれられてゆく心もちは涙ぐましくなるやうだ。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
うらがなしい春の日のたそがれどきこのひとびとの群は建築と建築との軒を泳いでどこへどうして流れゆかうとするのか私のかなしい憂愁をつつんでゐるひとつの大きな地上の日影ただよふ無心の浪のながれああどこまでもどこまでも この群集の浪の中をもまれて行きたい。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
どこからともなく、空の日影がさして来て、宇宙が恐ろしくひっそりしていた。
— 萩原朔太郎 『日清戦争異聞(原田重吉の夢)』 青空文庫
ああ 春の日のたそがれどき都會の入り混みたる建築と建築との日影をもとめおほきな群集の中にもまれてゆくのは樂しいことだ。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
みよ この群集のながれてゆくありさまを浪は浪の上にかさなり浪はかずかぎりなき日影をつくり、日影はゆるぎつつひろがりすすむ。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
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日影 は、日蓮正宗総本山大石寺第8世法主。
出典: 日影 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0