暁雲
ぎょううん
名詞
標準
文例 · 用例
暁雲は、あれは夕焼から生れた子だと。
— 太宰治 『善蔵を思う』 青空文庫
夕陽なくして、暁雲は生れない。
— 太宰治 『善蔵を思う』 青空文庫
もう一つの苦痛が、より大きい試練がほしい、それに依って現在の如何にもならないこの怯懦が、このまま絶望の底へ沈潜してしまうか、或はまた、それを契機として再び暁雲の様に情熱が染め出されるか……いささかこの希求に不安とあるおこがましさを覚えつつも、抱かずにはいられなかった。
— 山本勝治 『十姉妹』 青空文庫
暁雲四鎖昼冥濛、狂浪巻船鯤海風、人臥客牀静如夜、雄飛只有信天翁。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
暁雲雨を帯びて暗かりしも、後に天開きて日影を見る。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
暁雲をやぶる明けがたの一番|太鼓。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
いや、具眼の士でなくとも、秀吉を盟主として興りつつあるものは、悉く日本全州の暁雲のうごきを思わせ、その中心の力たるを実証しているに較べて、浜松の家康はといえば、なおまだ東海の一地区に限度せられた地方的勢力に過ぎないことは、誰とても、否み得ないところであった。
— 第十分冊 『新書太閤記』 青空文庫
富士山が見えるで」 ふいに耳元で人声がしたので、祠の縁に手枕で寝ていた武蔵は、むっくりと起きあがって、いきなり眩い暁雲に眼を射られたが、人影は見えないで、はるか彼方の雲の海に、真っ赤な富士のすがたを見出した。
— 空の巻 『宮本武蔵』 青空文庫