臓部
ぞうぶ
名詞
標準
文例 · 用例
男達が其処に停ち止まったアイリスの傍まで駈けつけた途端に、振り向いたアイリスは、右の人差指を延ばして矢継ぎ早やにワルトンとジョーンの心臓部を目がけて突いた。
— 岡本かの子 『決闘場』 青空文庫
「昨二十二日午後二時ごろ左京区下鴨××町実業家小郷虎吉氏は京極の映画館××館の公衆電話のなかで、何者かの手で心臓部へ鋭利な刃物を突き刺されて苦悶中を発見、最寄りの××病院へかつぎ込んで手当を加えたが、二時三十分落命した。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
どうも御気の毒です」 医者はこう云ったがまた一筒の注射を心臓部に試みた。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
そして、その背後には、恰度心臓部に当る辺に、柄も埋まらんばかりに深く、一本の短剣が突き刺さっているのだが、血は創口の周囲に盛り上がっているだけで、附近には血滴一つない。
— 小栗虫太郎 『失楽園殺人事件』 青空文庫
3 国土の広大 攻者の威力が敵の防禦線を突破し得るほど十分であっても、攻者国軍の行動半径が敵国の心臓部に及ばないときは、自然に持久戦争となる。
— 石原莞爾 『最終戦争論』 青空文庫
あの二通りの傷は、心臓部の刺傷に比較して恐ろしく周囲の皮膚が擦りむけていたね。
— 大阪圭吉 『カンカン虫殺人事件』 青空文庫
「そんな珍糞漢糞の寝言は後廻しにして、われわれはいま、冷静且つ果断に事件の心臓部を突破せにゃならないんだッ。
— 海野十三 『地球盗難』 青空文庫
その鉄扉の一つを開けるにも、海底要塞の心臓部というべき中央発電所の大モーターを動かしてかからねばだめなのだ。
— 海野十三 『太平洋魔城』 青空文庫