降り暮らす
ふりくらす
動詞
標準
文例 · 用例
しとしとと降り暮らす春の雨の冷たさに、やや紅みを帯びて悲しさうにうなだれた莟といふ莟が、一夜のうちに咲き揃つて、雨あがりの金粉をふり撒いたやうな朝の日光のなかで、明るくほがらかに笑つてゐる花の姿は、多くの植物に見るやうな、莟から花への発展といふよりも、むしろすばらしい跳躍であります。
— 薄田泣菫 『桜の花』 青空文庫
七月十日(金曜)雨 梅雨的にふりくらす。
— 一九二五年(大正十四年) 『日記』 青空文庫
蒸暑かつたり、涼し過ぎたり、不順な陽氣が、昨日も今日もじと/\と降りくらす霖雨に、時々野分がどつと添つて、あらしのやうな夜など續いたのが、急に朗かに晴れ渡つた朝であつた。
— 泉鏡太郎 『番茶話』 青空文庫
東京で桜が散った後は、もう一雨で初夏の香が街頭に満つが、ここでは、こうやって今日一日降りくらす、明日晴れる、翌日は又雨で、次の日晴れる――ああ、何か一種異様の愛着をもって自然が推移するのだ。
— 宮本百合子 『夏遠き山』 青空文庫
落つけよとの雨が終日降りくらす。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
降り暮す昨日今日、千騎の雨は襲ふが如く、伏屋も、館も、籠れる砦、圍まるゝ城に似たり。
— 泉鏡太郎 『五月より』 青空文庫