行蔵
こうぞう
名詞
標準
文例 · 用例
今度、同銀行蔵掃除について払下げに相成ったを、当商会において一手販売をする、抵当流れの安価な煙草じゃ、喫んで芳ゅう、香味、口中に遍うしてしかしてそのいささかも脂が無い。
— 泉鏡花 『露肆』 青空文庫
故に其の|寄王助教達善の長詩の前半、自己の感慨|行蔵を叙して忌まず、道衍自伝として看る可し。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
そこは京都の方から景蔵をたよって来て身を隠したり、しばらく逗留したりして行くような幾多の志士たち――たとえば、内藤頼蔵、磯山新助、長谷川鉄之進、伊藤祐介、二荒四郎、東田行蔵らの人たちを優にかばいうるほどの奥行きの深い本陣である。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
人々は「大作のお師匠さんの、平山行蔵ってのは妙な仙人だが――」「大作って先生も、近頃の世間の奴らは、遊びにすぎて、といい出すと、うるさいって、村山の若旦那も仰しゃってたけれどもが、俺ら理窟抜きに好きだわな。
— 直木三十五 『三人の相馬大作』 青空文庫
が、紅葉は早くも孤立の力なきを知って、初めから百名以上の応援隊を率いて起ち、固く結束して団体的に文壇を開拓し、進退|行蔵を総て侶にして自家の勢力を扶植した。
— ――尾崎紅葉―― 『硯友社の勃興と道程』 青空文庫
平生の知己に対して進退|行蔵を公明にする態度は間然する処なく、我々後進は余り鄭重過ぎる通告に痛み入ったが、近い社員の解職は一片の葉書の通告で済まし、遠いタダの知人には頗る慇懃な自筆の長手紙を配るという処に沼南の政治家的面目が仄見える心地がする。
— 内田魯庵 『三十年前の島田沼南』 青空文庫
行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張、我に与からず我に関せずと存候。
— 書簡 『瘠我慢の説』 青空文庫
」 身体を斜に風の当りを弱めながら小笠原|長門守様前を突っ切ると、次の一廓が松平修理太夫と和気行蔵の二構え、お長屋門の傍から松が一本往来へ枝を張っている。
— 無明の夜 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫