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染む

しむ
動詞
1
標準
文例 · 用例
山の手の屋敷町にあるMの家は、募つてくる夜の寒さに軋む雨戸の音さへ身に染む程の靜けさで、殊に主屋と離れたMの書齋は、家人との交渉もなく、思ひのままに話は進むのです。
南部修太郎 S中尉の話 青空文庫
まあ、お酒の香がしてねえ、」と手を放すと、揺々となる矢車草より、薫ばかりも玉に染む、顔酔いて桃に似たり。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
日中は梅の香も女の袖も、ほんのりと暖かく、襟巻ではちと逆上せるくらいだけれど、晩になると、柳の風に、黒髪がひやひやと身に染む頃。
泉鏡花 妖術 青空文庫
窓の硝子を透して、雫のその、ひやりと冷たく身に染むのを知っても、雨とは思わぬほど、実際|上の空でいたのであった。
泉鏡花 妖術 青空文庫
けばけばしく彩った種々の千代紙が、染むがごとく雨に縺れて、中でも紅が来て、女の瞼をほんのりとさせたのである。
泉鏡花 妖術 青空文庫
が、そう云う源助の鼻も赤し、これはいかな事、雑所先生の小鼻のあたりも紅が染む
泉鏡花 朱日記 青空文庫
留守はただ磯吹く風に藻屑の匂いの、襷かけたる腕に染むが、浜百合の薫より、空燻より、女房には一際床しく、小児を抱いたり、頬摺したり、子守唄うとうたり、つづれさしたり、はりものしたり、松葉で乾物をあぶりもして、寂しく今日を送る習い。
泉鏡花 海異記 青空文庫
さて、そのときまでは、言ったごとく、陽気立って、何が出ても、ものが身に染むとまでには至らなかったが、物語の猫が物干の声になってから、各自言合わせたように、膝が固まった。
泉鏡花 吉原新話 青空文庫
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