巧まざる
たくまざる
表現
標準
natural
文例 · 用例
林芙美子氏の「牝鶏」(改造)は紀行文的な、そして随筆風な軽やかなものであるが、巧まざる心懐の淙々と流れるよどみのなさにこゝろよく惑き入れられるものがあつた。
— 牧野信一 『月評』 青空文庫
それからの失策は百出で、巧まざる滑稽は八笑人以上。
— 江見水蔭 『硯友社と文士劇』 青空文庫
これ実に、私という存在に対する無意識の軽蔑の如きものであり、巧まざる嘲弄、もしも私以外の然るべき人物が一肌ぬぎましょう、と持ちかけたら、こんな軽ハズミなことは言わなかったに相違ない。
— ――ゴロー三船とマゴコロの手記―― 『ジロリの女』 青空文庫
然し、女のやさしさやタシナミに欠けるようでありながら、巧まざる色気がこもっていて、申さばシンちゃんの言う如くチャーミングなところがある。
— 坂口安吾 『ニューフェイス』 青空文庫
「たしなみ」は、道徳と技術との綜合の上に描かれた人間生活の軌範であり、また、それぞれの社会的、性的、年齢的条件に応じて示される力と美との活きたすがたであり、信念と叡智と品位との最も巧まざる表象である。
— 岸田國士 『妻の日記』 青空文庫
「嗜み」といふことは、かういふ風にみて来ると、あらゆる日本人を通じて、それが真の日本人である限り、社会的、性的、年齢的条件に応じて、それぞれに示されなければならぬ力と美との活きたすがたであり、信念と叡智と品位との最も巧まざる表象であります。
— ――力としての文化 第四話 『青年の矜りと嗜み』 青空文庫
巧まざる名吟とはかかるものをこそ云ふものだらう。
— 正岡容 『大正東京錦絵』 青空文庫
この時のお話は、疎開先きのことだの、私はなぜこんなにやせたかとかを、巧まざるユーモアをもって話し、ロンドン初演にステージを共にした、十九世紀の歌の女王アドリナ・パティはその時七十二歳だったから、自分もパティ同様七十二歳までは歌をうたって皆さんを楽しませたい、という話をした。
— 吉本明光 『三浦環のプロフィール』 青空文庫
作例 · 標準
彼女の巧まざる笑顔には、周囲の人々を自然と明るくさせる不思議な魅力がある。
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その庭園は、人の手が入っていながらも巧まざる自然の趣を湛えていた。
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彼の描く風景画には、作為を感じさせない巧まざる美しさが宿っている。
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