幻辞.com

手込め

てごめ
名詞
1
標準
文例 · 用例
(三人は、母にいわれたごとく甚兵衛を手込めにして、牛小屋へ入れる)甚兵衛 どうするだ!
菊池寛 義民甚兵衛 青空文庫
老人は当然子供に手込めになっているこの男に同情して、やにわに子供たちを叱り飛ばした。
菊池寛 三浦右衛門の最後 青空文庫
彼は目から口惜し涙を二、三滴こぼしながら声を震わせて、「館の三浦右衛門をよくも手込めにあわせおった」という致命的な独言をいった。
菊池寛 三浦右衛門の最後 青空文庫
子供にさえ手込めになるのだから、今度はさらに造作がなかった。
菊池寛 三浦右衛門の最後 青空文庫
向ふ脛にのこつてゐる負傷の痕は、私達のケテイを地代金の代償として手込めにしようとして担ぎ出した悪銀行員の馬車を追つて、月見草のさかんな河堤で、一騎打ちのつかみ合ひを演じた折、私の力が及ばなかつたか、奴の手玉にとられて蛇籠の上にもんどりを打つた時の不覚の傷手である。
牧野信一 三田に来て 青空文庫
「二度も、生臭坊主の手込めに逢った上は、恥辱であろうから、死ぬがよい。
直木三十五 南国太平記 青空文庫
深雪は、その指先から、全身を赤くすると共に(自分も、姉のように、手込めに、逢って――) と、感じた。
直木三十五 南国太平記 青空文庫
現に私の或る彼の性と似通つた叔父貴と共謀して、私の死んだ父親が、愚かであればあるほどいとしい私の行末の生活を案じた上に数百町歩に渡るものゝ見事な蜜柑山を遺しておいたのを、私の老母をたぶらかして「私」の印形を手込めにして「負債証書」を捏造したとかといふ話だ。
牧野信一 バラルダ物語 青空文庫