丸型
まるがた
名詞
標準
文例 · 用例
その真上には差渡し二尺以上もあろうかと思われる丸型の大時計が懸かっているが、セコンドの音も何も聞えないままに今の時間……七時四十二分を示しているところを見ると、多分、電気仕掛か何かになっているのであろう。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
そう思うとその天幕の出来上った頃、東京の或る新聞に大きな写真となって出ていたその小さな天幕、天幕の中に唯だ一つ吊るされた丸型のランプ、その下の寝台に腰かけている友人、さては天幕の入口際に立ってさびしく微笑している某政党の老首領の面影などまで、ありありと眼の前に浮んで来た。
— 若山牧水 『みなかみ紀行』 青空文庫
小さい天幕の中に唯だ一つ吊りさげられている丸型ランプの影がまた心をかすめて行った。
— 若山牧水 『みなかみ紀行』 青空文庫
「コムピーエの森だな、藤屋氏にとつての――」崖から崖へ差し渡した橋を渡るとピエル・フオンの館の厳めしい門である門の傍に丸型の実物大のブロンズの楯が掛つてゐる。
— 牧野信一 『ピエル・フオン訪問記』 青空文庫
まず中央に紫檀細工の丸型のテーブルが据えてあり、それを取り巻いて二脚の牀几と、深張りの一脚の肘掛椅子と、そうしてこれも深張りの長い寝椅子とが置いてあったが、肘掛椅子と寝椅子とに、打ちかけられた豹の皮は、日本産とは思われなかった。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
すると、入場券は、ひとりでに、奥へ吸い込まれたが、とたんに何者かが奥から、「これを胸へ下げてください」 と云ったかと思うと、丸型の赤い番号札が例の穴から、ひょこんと出て来た。
— 海野十三 『鬼仏洞事件』 青空文庫
あけ荷、衣桁、衣裳、鬘、丸型朱塗りの大鏡台、赤を白く抜いた大入り袋、南京繻子の大座布団、ひらいたままの草双紙、こういった物が取り乱されてあったが、女太夫の部屋だけに、ひときわ光景がなまめかしい。
— 国枝史郎 『名人地獄』 青空文庫
二間一尺の軽竿、道糸を竿丈より一尺短くして、三匁乃至五匁の銃丸型の錘をつけ、鮎毛鈎に蛆をさして、瀬脇へ振り込み、右の腕を前方へ真っ直ぐに伸ばして、こちら合わせで、すいすいと美しい若鮎を抜きあげる上州人の釣り姿は、あたかも巧みな芸能人の風があった。
— 佐藤垢石 『利根の尺鮎』 青空文庫