蠢き
うごめき
名詞
標準
文例 · 用例
大隊長とその附近にいた将校達は、丘の上に立ちながら、カーキ色の軍服を着け、同じ色の軍帽をかむった兵士の一団と、垢に黒くなった百姓服を着け、縁のない頭巾をかむった男や、薄いキャラコの平常着を纏った女や、短衣をつけた子供、無帽の老人の群れが、村に蠢き、右往左往しているのを眺めていた。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
ぴんと張り拡げられた薄墨いろの肉翅のまん中で、毛の胴は異様に蠢き、小鳥のやうな足は宙を蹴る。
— 岡本かの子 『蝙蝠』 青空文庫
ぴんと張り拡げられた薄墨いろの肉翅のまん中で、毛の胴は異様に蠢き、小鳥のような足は宙を蹴る。
— 岡本かの子 『蝙蝠』 青空文庫
留まると、折屈みのある毛だらけの、彼の恐るべき脚は、一ツ一ツ蠢き始めて、睫毛を数へるが如くにするので、予て優しい姉の手に育てられて、然う為た事のない眉根を寄せた。
— 泉鏡花 『蠅を憎む記』 青空文庫
見る/\、其の尾震ひ、脚蠢き、頭動く。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
蠢き、まつわるものの、いやらしさ。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
ジイジイっと喘鳴のようなかすれた音を立てて燃えはじめると、拡がってゆく焔の中で、薄気味悪い蒼鉛色をしたものがメラメラと蠢きはじめるのです。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
が、彼は自分が掘り穿った洞窟のうちに、獣のごとく蠢きながら、狂気のごとくその槌を振いつづけていたのである。
— 菊池寛 『恩讐の彼方に』 青空文庫