お為ごかし
おためごかし
名詞名詞-の形容詞
標準
self-interested show of kindness
文例 · 用例
お為ごかしに理窟を言って、動きの取れないように説得すりゃ、十六や七の何にも知らない、無垢な女が、頭一ツ掉り得るものか。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
勿論、このやうな安価な仕事をお為ごかしに押しつけることが悪い。
— 坂口安吾 『古都』 青空文庫
偽善やお為ごかしを見れば抗議をする。
— ГУСЕВ 『グーセフ』 青空文庫
そして――用心が悪いから私が帰ったら後の扉を閉めて下さいよ――とか何んとか、泣いて居る糸子にお為ごかしに言って引揚げ、糸子が扉を締めて、元の卓子の前に戻った様子を、鍵穴から覗いて確かめた上、短銃の引金に絡んだ紐の端っこを、鍵穴を通して、向うの部屋から急に強く引いたのだ。
— 野村胡堂 『踊る美人像』 青空文庫
「くれる方は、一文二文でも恩にきせますよ、親分、あっしは遠縁で、三河屋のために病気になったのを、三河屋がお為ごかしに女房にまで別れさせ、さんざん恩にきせられて、離室へ犬のように飼われている男だ。
— 十七の娘 『銭形平次捕物控』 青空文庫
――人目につくの何のと、そりゃお為ごかしの胡麻化しだあ。
— 長谷川伸 『中山七里 二幕五場』 青空文庫
二年越し言い交したお駒が、お為ごかしの切れ話を持出して、泣いて頼む新吉の未練さを嘲るように、プイと材木置場を離れて、宵暗の中に消え込んでしまったのです。
— 人形の誘惑 『銭形平次捕物控』 青空文庫
今も、彼は明らかに心穏やかでないのだ――不思議な、伸子に責任はない理由で、それをまともに表さず、親切らしいお為ごかしの云いかたを、又してもする。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫