蜻
蜻
名詞
標準
文例 · 用例
千代女の「蜻蛉つり今日は何所まで行つたやら」「身に沁みる風や障子に指の跡」「朝顔につるべ取られて貰ひ水」等の句は、言葉のイメーヂやヴィジョンから来る詩趣でなくして、人情的な内容からくる興味を主としたものであるから、この種の句ならば、翻訳を通じて外人に理解させることが出来るのである。
— 萩原朔太郎 『詩の翻訳について』 青空文庫
特に虫や鳥やの小動物を愛し、蛇、蛙、蝉、蜘蛛、蜻蛉、蝶などが好きであった。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
その間を大きな蜻蛉が襲撃するやうにかけぬけた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
秋になると、蜻蛉も、ひ弱く、肉体は死んで、精神だけがふらふら飛んでいる様子を指して言っている言葉らしい。
— 太宰治 『ア、秋』 青空文庫
蜻蛉のからだが、秋の日ざしに、透きとおって見える。
— 太宰治 『ア、秋』 青空文庫
耳を澄まして注意をしていると、夏になると同時に、虫が鳴いているのだし、庭に気をくばって見ていると、桔梗の花も、夏になるとすぐ咲いているのを発見するし、蜻蛉だって、もともと夏の虫なんだし、柿も夏のうちにちゃんと実を結んでいるのだ。
— 太宰治 『ア、秋』 青空文庫
子供の時分に蜻蛉を捕るのに、細い糸の両端に豌豆大の小石を結び、それをひょいと空中へ投げ上げると、蜻蛉はその小石を多分|餌だと思って追っかけて来る。
— 寺田寅彦 『烏瓜の花と蛾』 青空文庫
蜻蛉や鴉が飛行中に機関の故障を起して墜落するという話は聞かない。
— 寺田寅彦 『烏瓜の花と蛾』 青空文庫