片影
へんえい
名詞
標準
speck
文例 · 用例
ティアガルテンの冬木立や、オペラの春の夜の人の群や、あるいは地球の北の果の淋しい港の埠頭や、そうした背景の前に立つ佗しげな旅客の絵姿に自分のある日の片影を見出す。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
」 負傷者の傷には、各々、戦闘の片影が残されていた。
— 黒島傳治 『氷河』 青空文庫
たとえ半分がうそだとしてもいつもの型に入った人殺しや自殺の記事よりも比較のできないほど有益な知識の片影と貴重な暗示の衝動とを読者に与える。
— 寺田寅彦 『破片』 青空文庫
寂しく物凄さに、はじめて湖神の片影に接した思がした。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
しかし、ただ、以上の考察の中に含まれた根本の考えがいくぶんでも実際の問題に触れたところがあるとすれば、右にあげた数式によって代表された理想的過程の内容とその結果とは、またいくぶんか実際の言語の拡散過程、ならびに時間的空間的分布の片影を彷彿させるくらいのものはあるであろうと思われる。
— 寺田寅彦 『比較言語学における統計的研究法の可能性について』 青空文庫
彗星の表現はあまりにも真実性の乏しい子供だましのトリックのように思われたが、大吹雪や火山の噴煙やのいろいろな実写フィルムをさまざまに編集して、ともかくも世界滅亡のカタクリズムを表現しようと試みた努力の中にはさすがにこの作者の老巧さの片影を認めることもできないことはないようである。
— 寺田寅彦 『映画雑感(4)』 青空文庫
これはおそらく世界共通の現象で、現在でも未開国ではその片影を認めることができるようである。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
以上は単に便宜上主として『灰汁桶』だけについて例証したのであるが、読者にしてもし同様の見地に立って他の巻々を点検するだけの労を惜しまれないならば、私のここに述べた未熟な所論の中に多少の真の片影のあることを認めてもらえるであろうと信ずる。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
作例 · 標準
かつて栄華を極めたその城も、今では草に覆われた石垣に当時の片影をとどめるのみだ。
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彼の沈んだ横顔には、かつて見せていた自信に満ちた笑顔の片影すら残っていなかった。
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焼け野原となった街には、平和だった日常の片影を探すことさえ難しかった。
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