持ち切り
もちきり
名詞
標準
文例 · 用例
相変らず酒宴の座を一人持ち切りで掻き廻している魯八の芸も今は国太郎にはしつこく鼻についた。
— 岡本かの子 『とと屋禅譚』 青空文庫
昨夕も近所の湯にいつたら電車の噂で持ち切りであつた。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫
息子はお父さんと違って堅気一方の人らしく、細君と共に始終行儀よく控えているので、席上の座談は両老人が持ち切りという姿で、わたし達は黙ってその聴き手になっていると、半七老人は膳の上の松茸を指さして、これは私から貰ったのだと説明したので、息子たちからあらためて礼を云われて、私はすこし恐縮した。
— 松茸 『半七捕物帳』 青空文庫
友吉おやじで持ち切りだ。
— 夢野久作 『爆弾太平記』 青空文庫
神経質な、根性のヒネクレタ老人や、ヤンチャな過敏な子供までも、モウ一から十まで姫草さん姫草さんと持ち切りで、ほかの二名の看護婦はあれどもなきが如き状態であった。
— 夢野久作 『少女地獄』 青空文庫
」 村の若者の間では昨日からチルさんの評判で持ち切りである――と彼はいつた。
— 牧野信一 『山峡の村にて』 青空文庫
などと云い合って、当分は何処でもその噂で持ち切りの有様だった。
— 宮本百合子 『お久美さんと其の周囲』 青空文庫
それは実にその伝播の迅さといっては恐ろしい位のもの、一種の群衆心理と申すか、世間はこの噂で持ち切り、人心|恟々の体でありました。
— 一度家に帰り父に誡められたはなし 『幕末維新懐古談』 青空文庫