焼跡
やけあと
名詞
標準
文例 · 用例
そりゃ、ひとりで行ったほうがいいの」「ひとりで行くわ」 それからお咲さんは、焼跡の整理を少し手伝って下さった。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
焼跡の隅のわずかな青草でも美しく歌ってくれる詩人がいないものでしょうか。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
あたしならば、広島の焼跡をかくんだがなあ。
— ―――三幕 『冬の花火』 青空文庫
一、二月もたって近辺にぽつぽつバラックが建ち並ぶようになった頃に、思い出して行ってみたが、その店はまだ焼跡のままであった。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫
声は梟、山伏の吹く貝、磔場の夜半の竹法螺、焼跡の呻唸声。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
お前、焼跡で引火奴を捜すような、変な事をするから、一つ素引いてみたまでのもんさね。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
青森の中学校を出て、それから横浜の或る軍需工場の事務員になって、三年勤め、それから軍隊で四年間暮し、無条件降伏と同時に、生れた土地へ帰って来ましたが、既に家は焼かれ、父と兄と嫂と三人、その焼跡にあわれな小屋を建てて暮していました。
— 太宰治 『トカトントン』 青空文庫
さすがに私は、その焼跡の小さい住宅にもぐり込むのは、父にも兄夫婦にも気の毒で、父や兄とも相談の上、このAという青森市から二里ほど離れた海岸の部落の三等郵便局に勤める事になったのです。
— 太宰治 『トカトントン』 青空文庫