落穂
おちぼ
名詞
標準
fallen ears (of grain)
文例 · 用例
稲の下にも薄の中にも、細流の囁くように、ちちろ、ちちろと声がして、その鳴く音の高低に、静まった草もみじが、そこらの刈あとにこぼれた粟の落穂とともに、風のないのに軽く動いた。
— 泉鏡花 『若菜のうち』 青空文庫
お前様、曾祖父様や、祖父様の背戸畑で、落穂を拾った事もあんべい。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
かくて、はや落穂ひろひの農人が寒き瞳よ。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
森の御寺の夕づく日、ほの照り黄ばむさみしらにやがて鉦うつ一人のその夜ぞこひし、野も暮れよ、あはれ初秋、日もゆふべ、落穂ふみつつ身はまよふ。
— 北原白秋 『第二邪宗門』 青空文庫
場所はどこかの農家の空地とでもいいそうな所で、お七の鶏は落穂でもひろうように徘徊していた。
— 岡本綺堂 『夢のお七』 青空文庫
その日の糧の不安さに、はじめはただ町や辻をうろついて廻ったが、落穂のないのは知れているのに、跫音にも、けたたましく驚かさるるのは、草の鶉よりもなお果敢ない。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
御用でおれは時々こっちへも廻って来るが、もともとこの村の落穂を拾っている雀でねえから、土地の様子はあんまりよく知らねえ。
— 小女郎狐 『半七捕物帳』 青空文庫
そういう意味で『鋲』『文芸街』の作品、『主潮』の詩「落穂ひろい」小説「中農の伜」「違反」「雑草」など、作品としてはいろいろの未熟さその他の問題をふくんでいるとしても、作品が生活から遊離していない点でやはり読者の心をひくものをもっていると思う。
— 宮本百合子 『新年号の『文学評論』その他』 青空文庫
作例 · 標準
例句