文車
ふぐるま
名詞
標準
文例 · 用例
講談師には二代目文車、桃川|燕国、松林伯円がある。
— 森鴎外 『細木香以』 青空文庫
講談の「秋色桜」は先代一龍斎貞山の十八番であつたが、近時偶々私は一立斎文車の「秋色桜」速記(大正三年四月号「娯楽世界」)を一読に及んで、貞山と文車の演技には可成の差違のあることを知つて、大いに/\勉強となつた。
— 正岡容 『下谷練塀小路』 青空文庫
先づ貞山は秋色を菓子職人六右衛門の息女としてゐるが、文車は八丁堀水谷町駕籠屋甚兵衛の娘として演じてゐる。
— 正岡容 『下谷練塀小路』 青空文庫
駕籠屋なればこそ、のちに秋色出世後、自ら娘の乗物も担いで、自然に宮家へ赴くのだと云ふ此が文車の解釈であらう。
— 正岡容 『下谷練塀小路』 青空文庫
また貞山は秋色の句の「青柳や車の下のこぼれ米」、此を「こぼれよね」と読んでゐたが文車は「こぼれごめ」、此はどうしても後者でないと、情景が泛んで来ない。
— 正岡容 『下谷練塀小路』 青空文庫
文車の演出は一体に写実で懇切で味があり、町内の人たちが向島の雑沓を嫌つて上野のしづけさをたゝへる会話のところでも江戸墨堤の群衆のさまがじつにあり/\と描かれてゐる。
— 正岡容 『下谷練塀小路』 青空文庫
蓋し貞山とちがつて当時已に高齢であつた文車は身を以て江戸向島の観桜風景を体験してゐるからであらう。
— 正岡容 『下谷練塀小路』 青空文庫
傍らのヽは特に私が附したのであるが、文車の口吻裡には兵火に亡びた江戸文化中の至宝をあくまで惜別してゐる江戸市井人の感懐さへ滲んでゐて頗るおもしろい。
— 正岡容 『下谷練塀小路』 青空文庫
ウィキペディア
文車(ふぐるま)とは、文書や書籍などを収載して牛や人力で運搬するための車両のこと。移動可能な文庫としての機能を有しており、中世日本の公家社会において広く用いられていた。車倉とも呼ばれる。
出典: 文車 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0