訳合い
わけあい
名詞
標準
文例 · 用例
密夫の心得がのうて、密夫の狂言ができねば、盗人の心得がのうては、盗人の狂言はできぬ訳合いじゃ。
— 菊池寛 『藤十郎の恋』 青空文庫
公卿衆になった心得がのうては、舞台の上で公卿衆にはなれぬ訳合いじゃ。
— 菊池寛 『藤十郎の恋』 青空文庫
そのような訳合いで健次郎(松本氏)などと違うて私は翁の直門という訳ではない。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
ひょっとこの話一 奥州の昔話に、竈の火焚き男、あるいは単に竈男と呼ばれて、ある訳合いから長者の家に下男となって住みこんだ男が、ついにはその家の愛娘に見染められて、立身出世するというすじの話がある。
— 佐々木喜善 『東奥異聞』 青空文庫
重吉はこの年月仲間の女や媒介業の老婆などの陰口を聞いて、お千代がお客に好かれる訳合いを能く知っていたのであるが、しかしそれは要するに噂に聞くばかりの事で、直接お客の面貌を見知った後お千代のこれに対する様子をはっきり窺い見る事を得たのは今度始めて妾宅へ引移ってからの事であった。
— 永井荷風 『ひかげの花』 青空文庫
千八百年代の作家が、この事件の暗黒の部分と、変更の訳合いを究明しようと努力したが、たいして成功はしなかった。
— 久生十蘭 『海難記』 青空文庫
それは、どこの里へ行ったところで、同じ訳合いだ。
— 佐藤垢石 『魔味洗心』 青空文庫
故郷において、私の妹が老父と共に育ててもいいのだが、妹はまだ嫁入り前であったから、それは妹にとっては可哀相な訳合いであったのだ。
— 佐藤垢石 『盗難』 青空文庫