望台
ぼうだい
名詞
標準
文例 · 用例
この峠は、甲府から東海道に出る鎌倉往還の衝に当つてゐて、北面富士の代表観望台であると言はれ、ここから見た富士は、むかしから富士三景の一つにかぞへられてゐるのださうであるが、私は、あまり好かなかつた。
— 太宰治 『富嶽百景』 青空文庫
ついでに屋上さらに三四百尺の鉄塔を建てて頂上に展望台を作るといいと思う。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
それは一階建のところもあれば、二階建になっているところもあって、必らずしもその老朽を防ぐよすがにはなりそうもない黝んだ屋根の上には、二つの展望台が相向いにニュウと突っ立っているが、どちらも曾ては塗ってあった色の跡形だになく、今はもうぐらぐらになっている。
— または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊 『死せる魂』 青空文庫
舟を持たない七郎丸は久しい前からこの展望台で観測係を務めていた。
— 牧野信一 『吊籠と月光と』 青空文庫
稀には舟を借りて沖へ出かけることもあったが、舟主との間が面白くないので、彼は大方この展望台に籠って、天候の次第に依って幾通りかの旗をかかげたり、魚群の到来を村人に知らすサイレンのスウィッチを握ったりして、遣瀬なく腕を扼していた。
— 牧野信一 『吊籠と月光と』 青空文庫
納戸から三階になつて屋根裏の一角に達する階段を登り詰めると、草葺を四角に凡そ一坪程に切り展いた封建時代の展望台に達する。
— 牧野信一 『南風譜』 青空文庫
私も、その展望台に行つて見ようか?
— 牧野信一 『風媒結婚』 青空文庫
「あの展望台は僕の仕事場であると同時に、寝室でもあり、その上僕はあの室でだけ結婚の夢を見てゐるのだから、うつかり入つて来られると何んな迷惑を蒙るかも解らない。
— 牧野信一 『風媒結婚』 青空文庫