心許ない
こころもとない
形容詞
標準
文例 · 用例
そこで彼農学士が、百姓等の面前でその耕作法を述べる時、その述べる態度は甚だ心許ない。
— 中原中也 『心理的と個性的』 青空文庫
扨百姓達の方は、その態度が心許ないせゐではないが、何分嶄新なその耕作法は、聴けども聴けども分らない。
— 中原中也 『心理的と個性的』 青空文庫
即興詩の、聴手は喜ぶものであれど、歌ふ身になつてみれば心許ないわざであらう。
— 中原中也 『青年青木三造』 青空文庫
一八七二年正月ケント州の Bedgebury の親戚の宅で泊っているうちに劇烈な熱病(rheumatic fever)に罹り、一事は心許ない容態であった。
— 寺田寅彦 『レーリー卿(Lord Rayleigh)』 青空文庫
さあ、お奥では大騒動、可恐しい大熱だから伝染ても悪し、本人も心許ないと云うので、親許へ下げたのだ。
— 泉鏡花 『湯女の魂』 青空文庫
しかし、出来栄えはごらんの通りで、小田氏のかずかずの御助力にも、また竹内氏の遠方からの御支持にも、果してお報いできるかどうか、甚だ心許ない次第である。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
ただ、ペン一本で、こうして考え考えしながら一字、一字、書いて、それを訂正して行こうとしているのだから、心許ない話である。
— 太宰治 『春の盗賊』 青空文庫
胸のあたりで、声は聞えたようであるが、口へ出たかどうか、心許ない。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫