内なる
うちなる
連体詞
標準
inner (self, voice, man, etc.)
文例 · 用例
お前はまだ寐ないのかえ、と障子の外から聲をかけて、奧さまずつと入り玉へば、室内なる男は讀書の腦を驚かされて、思ひがけぬやうな惘れ顏をかしう、奧さま笑ふて立ち玉へり。
— 樋口一葉 『われから』 青空文庫
今日汽車の内なる彼女の苦悩は見るに忍びざりき、かく言いて二郎は眉をひそめ、杯をわれにすすめぬ。
— 国木田独歩 『おとずれ』 青空文庫
青年は絶えずポケットの内なる物を握りしめて、四辺の光景には目もくれず、野を横ぎり家路へと急ぎぬ。
— 国木田独歩 『わかれ』 青空文庫
ポケットの内なるは治子よりの昨夜の書状なり。
— 国木田独歩 『わかれ』 青空文庫
信仰の仕方はスイッチでありますから、これによって救いの電流を通じさせれば、苦もなく私たちの内なる人格完成の電球に灯が点ります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
」 幕の内なる泰助さえ、この声を怪しみぬ。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
空氣の充ちた護謨球のやうに、其の内なるものが乏少の氣味無くして、能く一ぱいになり得て、そして外に對つて其處に存して居るのが張る氣の象である。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
が、鬼神の瞳に引寄せられて、社の境内なる足許に、切立の石段は、疾くその舷に昇る梯子かとばかり、遠近の法規が乱れて、赤沼の三郎が、角の室という八畳の縁近に、鬢の房りした束髪と、薄手な年増の円髷と、男の貸広袖を着た棒縞さえ、靄を分けて、はっきりと描かれた。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
作例 · 標準
例句