長方
ちょうほう
名詞
標準
文例 · 用例
なお、正方形の碁盤縞が長方形に変じた場合は格子縞となる。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
碁盤の目ほどに窓の多いデパートメント、タンクを伏せたように重っ苦しい大屋根、長方形の箱を、手品師の手際で累積したようなアメリカ式鉄筋コンクリートの高層築造物は、垂直の圧力を通行人の頭上に加えて虚空の「通せん坊」をしあっている。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
「桜の間」は、十畳間くらいの、そうしてやや長方形の洋室である。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
その時の映画の種板はたいてい一枚一枚に長方形の桐製のわくがついていて、映画の種類は東京名所や日本三景などの彩色写真、それから歴史や物語からの抜萃の類であった。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫
泥水をたたえた長方形の池を囲んで、そうしてその池の上にさしかけて建てた家がある。
— 寺田寅彦 『猫の穴掘り』 青空文庫
ある人は天体の星は扁平な薄い長方形の中に散布していて、その中ほどに我が太陽系が居るものと想像した。
— 寺田寅彦 『天河と星の数』 青空文庫
車で見た合歓の花は、あたかもこの庭の、黒塀の外になって、用水はその下を、門前の石橋続きに折曲って流るるので、惜いかな、庭はただ二本三本を植棄てた、長方形の空地に過ぎぬが、そのかわり富士は一目。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
おかしな事には、いま私たちが寄凭るばかりにしている、この欄干が、まわりにぐるりと板敷を取って、階子壇を長方形の大穴に抜いて、押廻わして、しかも新しく切立っているので、はじめから、たとえば毛利一樹氏、自叙伝中の妻恋坂下の物見に似たように思われてならなかったのである。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫