集品
しゅうひん
名詞
標準
文例 · 用例
その時君は、貴重なる蒐集品を救いだすため、火宅へ取って返したまま、永久に不帰の人となったそうだ。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
彼が独身生活を続けるのも、そこから来るのであったが、情慾は強いかして彼の描く茫漠とした油絵にも、雑多に蒐められる蒐集品にも何かエロチックの匂いがあった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
売り惜んだ彼が最後に気に入りの蒐集品で部屋の中を飾った。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
退職官吏Yの考へでは、自分の蒐集品の殊にこまかい細工ものゝ昔人形や、壊れものゝ陶もの類は、骨董美術品商の娘であるかの女の馴れて丹念な指先が、手入れ保存に適当だと思つたからであつた。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
「折角の学問の才を切れ端にして使い散らさないように――」 と始終忠告していた父が、その実意からしても死ぬ少し前、主人を養子に引取って永年苦心の蒐集品と、助手の私を主人に譲ったのは道理である。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
謡の好きな人はその時間に一番ずつうたうもよし、盆栽を楽しむ人は盆栽をいじるもいいし、収集家は収集品の整理をやるもいいだろう。
— 寺田寅彦 『一つの思考実験』 青空文庫
たぶん、算哲博士は世界的の蒐集品を保護するために、文字盤を鉄函の中に入れただけでは不安だったのでしょう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
鑑賞するに個性が出てくる、從つて蒐集品にも個性が窺へるといふところに、其人々々の感覺と知識とが出てゐるのではあるまいか。
— 小野賢一郎 『やきもの讀本』 青空文庫