鏨
たがね
名詞
標準
chisel
文例 · 用例
また其の岬を大蛇灘が巻いて、めぐつて、八|雲崎、日暮崎、鴨崎、御室、烏帽子岩、屏風岩、剣岩、一つ一つ、神が斧を打ち、鬼が、鉞を下した如く、やがては、巨匠、名工の、鑿鏨の手の冴に、波の珠玉を鏤め、白銀の雲の浮彫を装ひ、緑金の象嵌に好木奇樹の姿を凝らして、粧壁彩巌を刻んだのが、一|目である。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
老人は、左の手に鏨を持ち右の手に槌を持つ形をした。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
「普通の彫金なら、こんなにしても、また、こんなにしても、そりゃ小手先でも彫れるがな」 今度は、この老人は落語家でもあるように、ほんの二つの手首の捻り方と背の屈め方で、鏨と槌を繰る恰好のいぎたなさと浅間しさを誇張して相手に受取らせることに巧みであった。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
左の手をぴたりと一ところにとどめ、右の腕を肩の附根から一ぱいに伸して、伸びた腕をそのまま、肩の附根だけで動かして、右の上空より大きな弧を描いて、その槌の拳は、鏨の手の拳に打ち卸される。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
見るものに無限を感じさせる天体の軌道のような弧線を描いて上下する老人の槌の手は、しかしながら、鏨の手にまで届こうとする一|刹那に、定まった距離でぴたりと止まる。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
気まり悪くなったのを押し包んで老人は「また、この鏨の刃尖の使い方には陰と陽とあってな――」と工人らしい自負の態度を取戻す。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
わしはわしの身のしんを揺り動かして鏨と槌を打ち込んだ。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
古火鉢と、大きな細工盤とで劃って、うしろに神棚を祀った仕事場に、しかけた仕事の鉄鎚を持ったまま、鏨を圧えて、平伏をなさると、――畳が汚いでしょう。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
作例 · 標準
彫刻家は鏨と金槌を巧みに使い、硬い石から美しい像を削り出した。
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古くなった鏨の刃を研ぎ直し、次の作品への準備を整える。
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金属の表面に細かな文様を刻むには、極細の鏨が必要不可欠だ。
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標準
burin
作例 · 標準
版画家は鏨を握りしめ、木の板に繊細な線を描き込んでいった。
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この銅版画の鋭い線は、熟練の職人が鏨で一気に彫り上げたものだ。
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古美術品の修復には、当時の技法に基づいた特殊な鏨が用いられる。
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標準
gad
作例 · 標準
鉱山で働く男たちは、大きな鏨を岩の割れ目に打ち込んで採掘を進めた。
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鏨で岩盤を砕く音が、静かな地下の洞窟内に響き渡っている。
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ダム工事の現場では、巨大な重機に混じって手作業の鏨も使われていた。
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