羨
羨
名詞
標準
文例 · 用例
精神上からみると、まことに無意味な浅薄な結婚であったけれど、世間の目から羨望の中心となり、一|時近郷の話題の花であった。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
学資に不自由なく身体の健全な学生程、世の中に羨しいものはなかった、本郷の第一高等学校の脇を通ると多くの生徒が盛に打毬をやって居る、其の愉快げな風がつくづく羨しくて暫く立って眺めた時の心持、何とも形容の詞がない。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
村一番の忌森で村じゅうから羨ましがられて居る。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
いと嬉しうて、今やこの事かたり出ん、しばししてや驚かすべき、さこそは人の羨やましがるべきをと、嬉しきにも猶はゞかられつゝ、あらぬ事ども言ひかはすほどに、折しもかの子規軒端に近う鳴く声のする。
— 樋口一葉 『すゞろごと』 青空文庫
普通の健康と自由さへあるならば、街路に日向ぼつこをしてゐる乞食さへも羨ましいのだ。
— 萩原朔太郎 『病床生活からの一発見』 青空文庫
耶蘇教の家の羨ましく風琴の唱歌する聲をききつつ冬の夜幼なき眼に涙ながしぬ。
— 萩原朔太郎 『クリスマス』 青空文庫
実際彼の妻のように、良人に対して忠実な奉仕をする女性は、普通の西洋婦人の中にはほとんどなく、これほどまた男が殿様扱いにされる家庭生活も、西洋では考え及ばないことであるから、ヘルンの手紙をよんだ外国人たちが、いかにその日本の友人を羨望したかが想像される。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
羨やましかろう』という自誇の情が、そうした手紙の言外によく現われてる。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫