死に場
しにば
名詞
標準
文例 · 用例
七之助はもう三吉のところに行かずに、まっすぐに死に場所を探しに行ったのであろう。
— 猫騒動 『半七捕物帳』 青空文庫
それからどこをどう歩いたか、かれは死に場所を探しながら帯取りの池へ迷って行った。
— 帯取りの池 『半七捕物帳』 青空文庫
ああ、助かつたと、ほつとして、「どこイ行つて来たんや、こんな遅まで……」と訊くと、「死に場所探しに行て来ましてん。
— 織田作之助 『聴雨』 青空文庫
……」 高利貸には責めたてられるし、食ふ物はなし、亭主は相変らず将棋を指しに出歩いて、銭をこしらへようとはしないし、いつそ死んだ方がましやと思ひ、家を出てうろうろ死に場所を探してゐると、背中におぶつてゐた男の子が、お父つちやん、お父つちやんと父親を慕うて泣いたので、死に切れずに戻つて来たと言ふ。
— 織田作之助 『聴雨』 青空文庫
「自分ほど社内を転々とした人間はいない」と語る大内が当初「これこそ自分の死に場所」と考えたのは、半導体ではなく、メディカルエレクトロニクス、つまり医療用の電子機器だった。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫
そして、「死に場所を得たといふべしだ、ね」とは云つたが、自分の半ば敗殘者たる現状を返り見て、こんな状態で實際生なる物の價値があるか、ないかの問題を自分に提出した。
— 憑き物 『泡鳴五部作』 青空文庫
生きてゐて面倒な女が渠から無關係に遠ざかつて行くのを、これ幸ひと、その死に場所まで案内するつもりである。
— 憑き物 『泡鳴五部作』 青空文庫
・豆腐さげてしぐれて濡れてもどる 自戒・今日から禁酒のしぐれては晴れる空・菜葉しぐれてきたこやしをやらう・熟柿日和で山の鴉が出てきてさわぐ あつ子嬢新婚 ほんに晴れわたり木の葉のとぶことも 改作・ここを死に場所とし草はしげるままに 十一月八日」はママ]日本晴、それから――万事如件。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫