弁証家
べんしょうか
名詞
標準
文例 · 用例
これに反し弁証家ヘーゲルにとつては歴史がそのエレメントであつたのである。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
* 数学化すということは云うまでもなく量化のことであるが、科学の方法が弁証法的でなければならないと公式的に飲み込んだ余り、科学の進歩は科学の方法を質化すことによって到達されると主張する者があるとしたら、夫は全く観念的な弁証家である。
— 戸坂潤 『現代哲学講話』 青空文庫
それはこういう「弁証家」は方法という概念を却ってかの物理学者や哲学者と同じに、全く非弁証法的――非歴史的にしか理解していないためである。
— 戸坂潤 『現代哲学講話』 青空文庫
* ゼノンが弁証家と呼ばれる所以は併しながら、寧ろ、論敵の主張の肯定の内にその否定を見出すという、彼の論法の内にある。
— 戸坂潤 『現代哲学講話』 青空文庫
彼は冷やかな弁証家であると同時に、優しい道徳家でもある。
— 岸田國士 『仏国現代の劇作家』 青空文庫
之を要するに、劇作家として彼に最も欠けてゐるところのものは「詩」と「機智」であるが、彼は、徹頭徹尾、冷やかな弁証家であると同時に、優しい道徳家であり、その冷やかさによつて人を撃ち、その優しさによつて人を動かす呼吸を誰よりも心得てゐる。
— 岸田國士 『ポオル・エルヴィユウ』 青空文庫
それから、人間の力弱さの最も顕著な実例として古人に特筆されたところによると、弁証家ディオドロスは、自分の学校で、衆人の前で自分に提出された議論に答えられなかった恥ずかしさのあまりに、その場で頓死したそうだ。
— ESSAIS DE MONTAIGNE 『モンテーニュ随想録』 青空文庫
この純然たる弁証家ふうのやり口、このように命題を分析したり比較したり、その各部を十分に列挙したりしたことは、犬がこれを自得したのだとしても、またトレビゾンド*から学んだのだとしても、どっちにしてもえらいものではないか。
— ESSAIS DE MONTAIGNE 『モンテーニュ随想録』 青空文庫