掴み取り
つかみどり
名詞
標準
文例 · 用例
勝手に掴み取りの、梟に枯葉で散り散りばらばら。
— 泉鏡花 『茸の舞姫』 青空文庫
」 手で掴み取りに来る一郎を彼女は追いやった。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
快活らしい元気な表情の中には、ただ、ゼーヤから拾ってきた砂金を掴み取り、肌の白い豊満な肉体を持っているバルシニヤを快楽する、そのことばかりでいっぱいだった。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
だが、たとえば、アメリカの機械靴の左右を合わせるのに、ほんの寸法だけで左足の堆積と右足の堆積とから手当り次第に掴み取りして似合の一対とするように、人間が肢を八本もっていたアンドロギュノスの往古に復り度い本能からばかりならば、幾千万の男と幾千万の女との適偶性もまた幾千万と云わなければならない。
— 渡辺温 『アンドロギュノスの裔』 青空文庫
白人の武器とする科学文明、白人の外交信条とする無良心の功利道徳が作る惨烈なる生存競争、血も涙も無い優勝劣敗掴み取りのタダ中に現在の日本が飛込むのは孩子が猛獣の檻の中にヨチヨチと歩み入るようなものであります。
— 夢野久作 『父杉山茂丸を語る』 青空文庫
そこでお前を利用してよ、途方もねえ獲物を盗み出したところで、相棒のお前を殺してしまえば濡れ手で粟の掴み取り、一粒だって他へはやらねえ。
— 国枝史郎 『八ヶ嶽の魔神』 青空文庫
はるばるわが金の国から、織物、陶器などを持って来て、この蒙古の黒貂、羊皮、砂金などと交易するのは、まるで赤子の手を捻るような掴み取りだ。
— ――市川猿之助氏のために―― 『若き日の成吉思汗』 青空文庫
はっきり自分の意中を打明けることも出来ず、はっきり相手の気持を掴むことも出来ず、ただ胸苦しい悲しい甘い心地に沈み込んで、草原の上に寝転んでは、すいすいと伸び出してる草の芽を無心に掴み取りながら、いつまでもぼんやりしてることがあった。
— 豊島与志雄 『父母に対する私情』 青空文庫