横歩き
よこあるき
名詞動詞-サ変
標準
side stepping
文例 · 用例
私は寧ろ薄気味悪い心地で、左の肩を先にして横歩きに近づいて行くと、奴は益々猫のやうに慣れて来て、終ひには私の肩の上に長々と伸し出した鼻面を載せかけて私の顔に並べると、恰も嚶々たる睦言を語らふ如く微かな吐息を衝いた。
— 「吾が昆虫採集記」の一節 『夜見の巻』 青空文庫
辻の四方を見廻してから、家の外壁へ背中をつけ、そのままゆるゆると横歩き、辻を一方へ曲がって行った。
— 国枝史郎 『剣侠受難』 青空文庫
彼は蟹のように横歩きで方々へぶち当りながらぬけ出るのだった。
— 金史良 『光の中に』 青空文庫
新公はさう云ふ彼女の変化に注意深い目を配りながら、横歩きに彼女の後ろへ廻ると茶の間の障子を明け放つた。
— 芥川龍之介 『お富の貞操』 青空文庫
」 いそいでよけた女の顔の前へ、てのひらにのせた鶏をつき出して、横歩きをしつつ髯の大きな男が熱心につばきをとばしてしゃべった。
— 宮本百合子 『赤い貨車』 青空文庫
』 と云つて、お照が榮子を畳の上へ置くと、口唇も頬も一層の慄へを見せて横歩きに母の傍へ末の子は近寄つた。
— 與謝野晶子 『帰つてから』 青空文庫
と暗中を前方から、忍術衆特有の横歩きで、風のように歩いて来る人の姿が――貝十郎その人が忍術を加味した、堤宝山流の達人だけに――感じ見え疑惑された。
— 国枝史郎 『血煙天明陣』 青空文庫
袂をかうして、顔へあてたまゝ、蟹みたいに横歩きをしてたでせう。
— 岸田國士 『言葉の魅力[第一稿]』 青空文庫