白珊瑚
しろさんご
名詞
標準
文例 · 用例
公子、真中に、すっくと立ち、静かに剣を納めて、右手なる白珊瑚の椅子に凭る。
— 泉鏡花 『海神別荘』 青空文庫
鼎に似ると、烹るも烙くも、いずれ繊楚い人のために見る目も忍びないであろう処を、あたかも好、玉を捧ぐる白珊瑚の滑かなる枝に見えた。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
土手は一面の蘆で、折しも風立って来たから颯と靡き、颯と靡き、颯と靡く反対の方へ漕いで漕いで進んだが、白珊瑚の枝に似た貝殻だらけの海苔粗朶が堆く棄ててあるのに、根を隠して、薄ら蒼い一基の石碑が、手の届きそうな処に人の背よりも高い。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
然し次の瞬間には、悟空のかゝる安価な理性も無智な妄想も……悉く、立処に消え去つてしまつたのであつた、悟空は失神してゆく己が心を取り止めることが出来なかつた、王の手に触れた最初の瞬間なのである、王の手は白珊瑚の如くに美しかつた、白瑪瑙の如き艶を持つてゐた。
— 牧野信一 『闘戦勝仏』 青空文庫
島栄ゆ鈴なる鴎白珊瑚 燈台がある。
— 横光利一 『欧洲紀行』 青空文庫
海草の中から、白珊瑚が、チラチラ光っているようである。
— 国枝史郎 『怪しの館』 青空文庫
珊瑚礁が下の方から黒い影をして盛り上つてをるところもよく見えたし、もつと淺くなると海の底が太陽の光で白く光つて見え、そこに菊目石のやうな白珊瑚の固りや、枝を成した白珊瑚などがまるで林のやうに美しく海底に咲亂れてをるのがよく見えた。
— 海野十三(佐野昌一) 『南太平洋科學風土記』 青空文庫
塚の中からの声「はい」 と栞は、素直に答えて、衣裳の赤い裾裏と、草履の赤緒との間に、白珊瑚のように挾まっている可愛らしい素足を運ばせ、塚を下りた。
— 国枝史郎 『血曼陀羅紙帳武士』 青空文庫