襟度
きんど
名詞
標準
magnanimity
文例 · 用例
寒生のわたくしがその境界を窺い知ることを得ぬのは、乞丐が帝王の襟度を忖度することを得ぬと同じである。
— 森鴎外 『細木香以』 青空文庫
わが友よ、戦へ、敵のもちものは豊富だぞ――、ぬすめ、それぞれ大泥棒の襟度を現はせよ、仔馬の集団、赤きわが遠征隊、捕吏の追跡、閃めくカギ繩マントでうけよ、マントが脱げたら上着でうけよ、上着がぬげたら素裸だ、鞍が落ちたら裸馬だ。
— 詩集(3)小熊秀雄詩集1 『小熊秀雄全集-4』 青空文庫
が、馬琴には奇麗サッパリと譲ってやる襟度が欠けていた。
— 内田魯庵 『八犬伝談余』 青空文庫
中には沼南が顔に泥を塗られた見にくさを箔でゴマカそうとするためのお化粧的偽善だというものもあるが、偽善でも何でも忘恩の非行者に対してこういう寛容な襟度を示したものは滅多にない。
— 内田魯庵 『三十年前の島田沼南』 青空文庫
孔雀のように美しい彼女は、孔雀のような襟度を持っているのだった。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
換言するならば、篇中に活躍すべき多くの登場人物を扱ふべき私の態度に、作者としての襟度と夢の不足を知つた。
— 牧野信一 『ダニューヴの花嫁』 青空文庫
親としての作家と、作家としての作家と、区別はないようであるけれども、駄作を承認する襟度に一層の自信を持つようになったのは、親としての作家が混合して来た結果である場合によることが多いと思われる。
— 横光利一 『作家の生活』 青空文庫
だが、そのように効果的に描き出された成功よりも更に深く横わる文学の問題、一箇の芸術家がこの人生にいかに面するかの問題は作者火野葦平氏がその効果と、優者の襟度としてのそのあたたかさを、自身に向ってどう見ているかというところにこそかかっている。
— ――文学に求められているもの―― 『生産文学の問題』 青空文庫