器械
きかい
名詞
標準
文例 · 用例
平生は鉄工所でどんがんする鎚の音、紡績会社の器械のうなり、汽笛の響、有らゆる諸工場の雑多な物鳴り等、大都会の騒々しさも、今日は一切に耳に入らない。
— 伊藤左千夫 『大雨の前日』 青空文庫
ラヂオといふものを、大変ふしぎなもの、肉声がそのまま伝つてくるものと思つてゐた私は、この不自然な器械的の音声を、どうしてもラヂオとは思へなかつた。
— 萩原朔太郎 『ラヂオ漫談』 青空文庫
芸術がもし、実にこの仕方で行くならば、芸術家は主観を有する人間でなく、無機物の写真器械と同じことだ。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
しかしその頃からみると、室内の調度や家具が古くなり、ハタオリ器械や、酒場の招牌や、腕の缺けた彫刻や、壞れた車輪や、投げ出された椅子などのガラクタ(と言つては失禮だが)に年代の錆がついて、大へん雅趣が深くなつた。
— 萩原朔太郎 『歳末に近き或る冬の日の日記』 青空文庫
少しく飛躍ではありますが、印象の瞬間捕捉なぞといふ考へも、一見甚だ嬉しいことではありますが、而もそれが嬉しいのは、人間を器械の如く推定した上でのことでありまして、その実人間は器械ではありませんからさういふ考へは思ひ付きに終るでありませう。
— 中原中也 『近時詩壇寸感』 青空文庫
器械体操では、金棒に尻上がりもできないし、木馬はその半分のところまでも届かないほどの弱々しさであった。
— 葉山嘉樹 『死屍を食う男』 青空文庫
それでドウいうふうにしてやりましたかというと、そのころは測量器械もないから、山の上に標を立って、両方から掘っていったとみえる。
— 内村鑑三 『後世への最大遺物』 青空文庫
その「器械」は実に原始的なものであった。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫