稲叢
いなむら
名詞
標準
文例 · 用例
それから百舌に頬白、頬白がいる位だから、里の田の畔、稲叢のあたりに、こまッちゃくれた雀共が、仔細ありげにピョンピョンと飛び跳ねながら、群れたかっていたとてさらに不思議はない。
— 日光に現れた退屈男 『旗本退屈男 第八話』 青空文庫
これに付いてちょっと御話申しておきますが、私が一つ大切にして持っているものは真鍮の小さな人形ですが、百姓が笠を持って稲叢の側に休んでいるところを彫んだ像です。
— 新渡戸稲造 『教育家の教育』 青空文庫
その男が、あっけらかんとしている途端に、四辺の稲叢のかげから、同じような程度の遊び人|体の(旅装の)男がのこのこと出て来ました。
— 禹門三級の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
承るところによりますと親分様には……」「やい、何を言ってやがるんだい、冗談もいいかげんにしねえと撲るぜ」 がんりきが、ぽんぽん言っているのに頓着なく、ひきつづいて稲叢の後ろから二人三人と出て来ては、入り替り立ち替り同じような挨拶を述べるのだから、がんりきもやりきれない。
— 禹門三級の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
背負っていった大風呂敷を持って彼は、舞台のほうへ出かけてゆくと、定式幕や野遠見の背景や小道具の稲叢を飾りつけた。
— 正岡容 『圓太郎馬車』 青空文庫
構えのうちにある小屋でも稲叢でも、皆川を過ぎて行く船頭の処から見えました。
— ラビンドラナート・タゴール Rabindranath Tagore 『唖娘スバー』 青空文庫
全地域にわたって、絵画的な四、五の群をなす、大きな藁の稲叢がある。
— 日本その日その日 『日本その日その日』 青空文庫
これ等の稲叢の多くには、瓢箪や南瓜がからまり、又農夫達が休み場所にする小さな小舎をかけたのもある。
— 日本その日その日 『日本その日その日』 青空文庫