朝暮
ちょうぼ
名詞
標準
文例 · 用例
そこで久しく人間から遠ざかって朝暮ただ鳥声に親しんでいた頃、音楽というものはこの鳥の声のようなものから出発すべきものではないかと考えた事があるそうである。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
汝見ずや、市肆の賤類、朝暮の營みに齷齪たるもの、尚ほ一事の長ずるあり、汝學ばずして何をかなすと、叔公大目玉を食はす。
— 泉鏡花 『花間文字』 青空文庫
望雲楼 東坡が望雲楼の詩に、陰晴朝暮幾回新、已向虚空付此身、出本無心帰亦好、白雲還似望雲人、といへる、さすがにをかしからぬにはあらねど、なほ下の心のあるやうにて、白雲点頭すべきや否や覚束無し。
— 幸田露伴 『雲のいろ/\』 青空文庫
老人は貧の人を苦しめぬものであることを知って幸福に朝暮を送り得たのである。
— 幸田露伴 『貧富幸不幸』 青空文庫
況やまた「日月は古いといえども朝暮に新しく、山河は老いたといえども春秋に鮮やか」で、三三が九、二五の十の数理は珍しくないといえども、算数の術が日々に新に開けるのも、つまりはこの通りなのである。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
罪なくして罪に当たり、官位を剥奪され、家を離れ、故郷を捨て、朝暮歎きに沈淪したもう。
— 明石 『源氏物語』 青空文庫
朝暮仏勤めはしておいでになるようではあるが、確固とした信念がおありになるとは思えない女の悟りだけでは御仏の救いの手もおぼつかない、五つの戒めも完全に保っておゆきになれるかも疑問なのであるから、自分がその精神だけを補うことにして、後世だけでも御安楽にしてさしあげたく思った。
— 匂宮 『源氏物語』 青空文庫
容貌のすぐれて美しいことでほかの欠点はとがめる気もせず朝暮の目の慰めにしていた。
— 手習 『源氏物語』 青空文庫