踏み砕く
ふみくだく
動詞
標準
文例 · 用例
紫色の服を着た女はやはり同じ写真の中に現われた黒い式服の中年婦人の変形であるとしたところで、瀬戸物を踏み砕く一条だけは説明困難である。
— 寺田寅彦 『三斜晶系』 青空文庫
それを踏み砕く二人の足音が時々単調な歩行に一種|田舎びた変化を与えた。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫
それを踏み砕く二人の足音が時々単調な歩行に一種田舎びた変化を与えた。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫
しかし、それにしてもかつてスイスにいるとき世の義理人情を踏み砕く無思想の発会式を行ったツァラアが、今その行為に内容を吹き与えたがごとき左翼の思想に新しさを発見したことは、再び完全に世の義理人情を否定する現実上の発会式を行ったようなものであった。
— 横光利一 『厨房日記』 青空文庫
と矢を二つに折り、足許に投げつけて粉々に踏み砕く。
— ――市川猿之助氏のために―― 『若き日の成吉思汗』 青空文庫
凍った雪を踏み砕く人の跫音も聞こえて来た。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
せっかくお松さんが大事にして持って来たものを、自分が足にかけて踏み砕くなんて……そんなところへ置いたものが悪いか、それを踏んだ者が悪いかは考えずに、与八は只管に、自分のみが悪いことをしたと恐懼して、行燈の下へ持って来て、ひねくってみましたが、その時まで閑却されていたのは絵馬の面です。
— めいろの巻 『大菩薩峠』 青空文庫
すると、おおかみは、もうすぐそこまで近づいて、雪の上を踏み砕く足音すら聞こえたのであります。
— 小川未明 『おおかみと人』 青空文庫