抜五
ぬけご
名詞
標準
文例 · 用例
しかしてどこから見ても、神河内を統御する大帝は穂高岳で、海抜五千七百尺の神河内から聳ゆること更に五千尺に近く、梓の濶流も、支線の小峡流も、その間の幾十反の点々たる平地も、何もかも一切包まれた谷は、神つ代の穂高見の命の知ろし召す世界である。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
その層の一番どん底を潜って喘ぎ喘ぎ北進する汽車が横川駅を通過して碓氷峠の第一トンネルにかかるころには、もうこの異常高温層の表面近く浮かみ上がって、乗客はそろそろ海抜五百メートルの空気を皮膚に鼻にまた唇に感じはじめる。
— 寺田寅彦 『浅間山麓より』 青空文庫
一行の居場所は海抜五〇〇〇フィート、空気も冷たく刺すようなのだ。
— A STUDY IN SCARLET 『緋のエチュード』 青空文庫
これが波かと思う紺青色の大山脈が、海抜五千|米突の聖エリアス山脈を打ち越す勢いで、青い青い澄み切った空の下を涯てしもなく重なり合いながら押し寄せて来る。
— 夢野久作 『難船小僧』 青空文庫
前面に黒部別山|蟠る、半時間くらいにて雪崩れたるあり、右側に道あれど詳かならず、川原を進み尾根に取付き等してなかなか渉らず、力つき暗くなりたれば河原に野宿せり、海抜五五〇〇尺くらいのところにて寒し、七時半。
— 加藤文太郎 『単独行』 青空文庫
海抜五千十七|米のヘルナーの峰に、大海を渡るために作られた汽船が航行中というのはおかしい。
— 海野十三(丘丘十郎) 『地球発狂事件』 青空文庫
なにしろ一万数千トンもある巨船が、海抜五千米のヘルナー山頂へ引掛っていることをどう説明したらいいか、途方にくれたのは当り前であった。
— 海野十三(丘丘十郎) 『地球発狂事件』 青空文庫
一般に馬来全島が非常な低地であつて最高の山が纔に海抜五百十九尺しか無いのだから、山と云つても都て丘陵の様なものであるが、其れに箒を立てた様な椰子類の植物が繁茂して居るのは遠くから観ても山の形が日本とは全く異ふ。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫