鮮新
せんしん
名詞
標準
文例 · 用例
然るにその後『憂鬱なる××』といふ題の小説が現はれたり、同じやうな書銘の詩集が出版されたりして、この「憂鬱」といふ語句の官能的にきらびやかな觸感が、當初に發見された時分の鮮新な香氣を稀薄にしてしまつた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
その當時の詩壇から見て、可成に新奇で鮮新な發明であつた特種のスタイルなども、今日では詩壇一般の類型となつて居て、むしろ常套の臭氣が鼻につくやうにさへなつて居る。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
それは全く思ひがけない、異常な鮮新な風景だつた。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
実に文章語の有する世界は、鎖国日本の伝統のものに属して、新日本の鮮新感に触覚しない。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
実際こうした詩の情操には、何らか或る鮮新な、浪漫的な、多少西欧の詩とも共通するところの、特殊な水々しい精神を感じさせる。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
鮓の冷たい、静物的な感じを捉えた純感覚的な表現であり、近代詩の行き方とも共通している、非常に鮮新味のある俳句である。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
鶯や駒鳥はいつも鳴いてゐるし、樹陰の深い緑は所々にあるし、それだけで山間の別天地をなした鮮新な温泉町としてゐる。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
そこに一種の鮮新な喜悦――心の視野が遠く延びて行くやうな喜悦――がある。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫