喚叫
かんきょう
名詞
標準
文例 · 用例
炎上焦げに焦がるる我心、そことしもなく聞ゆるは執着の日の喚叫、黒ずむ悪の火の羽ぶき、油日照の四辻は凄惨として音もなく、雲なき空に電流の渦まき消ゆる断末魔。
— 北原白秋 『第二邪宗門』 青空文庫
だが……オーイ オーイ寒冷な風の吹く荒神山の上で呼んでいる波のように元気な喚叫に耳をそばだてよ!
— 林芙美子 『放浪記(初出)』 青空文庫
やがて隙間があるのに気づき、そこから這ひ出すと、工場の方では、学徒が救ひを求めて喚叫してゐる――兄はそれを救ひ出すのに大奮闘した。
— 原民喜 『夏の花』 青空文庫
やがて隙間があるのに気づき、そこから這い出すと、工場の方では、学徒が救いを求めて喚叫している――兄はそれを救い出すのに大奮闘した。
— 原民喜 『夏の花』 青空文庫
襖一重向の廊下はドタドタと足音で乱れ、電話の滅茶苦茶の喚叫や、高低さまざまの人声が、襖の彼方は彼の理解できない性質のビジネスらしかつたが、つねにざわざわと沸き立ちながら、逆上のやうに建ものの中を流れて行くのだ。
— 原民喜 『火の踵』 青空文庫
と、山上からも騒然たる人間の喚叫が湧き起こり、眼には見えないが走り廻わる人の気勢が繁くなった。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
折から裏の宿の方へ走り往ば、狐はかくと見よりも、周章狼狽逃げ行くを、なほ逃さじと追駆けて、表門を出んとする時、一声|てかかり、喚叫んで暫時がほどは、力の限り闘ひしが。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
大らかに、ゆるやかに、深く、靜かに歩みを運ぶことの、喧噪しながら、焦躁しながら、他人の面上に唾を吐きかけながら、喚叫しながら、驅け出すよりも更に尊いことを教へた。
— 阿部次郎 『三太郎の日記 第一』 青空文庫