空気枕
くうきまくら
名詞
標準
air cushion
文例 · 用例
が、例の大鞄が、其のまゝ網棚にふん反返つて、下に皺びた空気枕が仰向いたのに、牛乳の壜が白い首で寄添つて、何と……、添寝をしようかとする形で居る。
— 泉鏡太郎 『銀鼎』 青空文庫
三造は毛布を敷き、空気枕をふくらして、伯父の寝やすいようにしつらえた。
— 中島敦 『斗南先生』 青空文庫
……何と……座席の下はチャント革張りの寝床になって、空気枕さえ置いてある。
— 夢野久作 『冥土行進曲』 青空文庫
凡そ三十秒乃至は一分毎に、恰も空気枕の栓を抜いた刹那の如き放出音が、敵と味方の堅い唇から、交互に盤面にあたつてゐた。
— 牧野信一 『泉岳寺附近』 青空文庫
彼は、空気枕のやうに、呆然とNの重味に堪へながら、凝つと息を殺してゐます。
— 牧野信一 『舞踏会余話』 青空文庫
」 今日久し振りで私を訪ねて来た――会社の人事係月俸百三十七円のB氏は、かういつて、用のない空気枕のやうにすうと長い溜息をついて、がつしりした胸の上で両手を拱み合せた。
— 大正十四(一九二五)年 『茶話』 青空文庫
「こんなものはバスケットがいいんでしょう」お絹はそこにあった空気枕や膝掛けや、そうした手廻りのものを、手ばしこく纏めていた。
— 徳田秋声 『挿話』 青空文庫
反対の側へ移って、包みを網棚にのせ、空気枕を膨らましていると、「ああ、ああ、いそいじゃった!
— 宮本百合子 『一隅』 青空文庫