廃鉱
はいこう
名詞
標準
文例 · 用例
横山所長は、釜石鉱山をものにするまでに、座敷牢へ入れて止められたほどの苦労をして来て、くされ半纒に縄帯ひとつで、鉱夫と一緒になって働いた人であるし、夫人は夫を信頼して、狐狸の住家だった廃鉱の山へ来たという、東京生まれの女性であっただけに、大変あたしを愛しんでくれた。
— 長谷川時雨 『渡りきらぬ橋』 青空文庫
廃鉱にたどりつくと、息をつく間もなく採鉱を開始する。
— 女の手 『キャラコさん』 青空文庫
しかしどうも廃鉱らしい。
— ――放浪の末、段ボールを思いつく 『私の履歴書』 青空文庫
ところが宝永元年にこの地方に大洪水があって、四囲の山々から溢流する出水のために銅山の建造物、人家、銅鉱、溶滓、廃鉱等ことごとく流失した。
— 大鹿卓 『渡良瀬川』 青空文庫
AB駅の間に支線はないといっても、かつては鉱山への支線があったのだが、ずっと以前にその鉱山が廃鉱になり、支線も不要になったので、間違いの起らぬよう、本線の近くの部分だけ支線のレールをとりはずしてあった。
— 江戸川乱歩 『探偵小説の「謎」』 青空文庫
しかし犯人はその裏をかいて、多勢の力で別の場所から数本のレールを運んで来て、夜にまぎれて、急速に廃鉱への支線を復原した。
— 江戸川乱歩 『探偵小説の「謎」』 青空文庫
そして、共犯があらかじめ機関車に乗りこみ、機関士をピストルで脅迫しながら、急ごしらえの支線へ乗りこませ、フルスピードを出させておいて、共犯も機関士も中途で飛びおり、そのまま列車を廃鉱へ驀進させた。
— 江戸川乱歩 『探偵小説の「謎」』 青空文庫
その附近は人家もない淋しい山中で、廃鉱への線路の両側は高い崖になっていて、異様な列車の驀進は、遠くからも見えなかったのである。
— 江戸川乱歩 『探偵小説の「謎」』 青空文庫