神経的
しんけいてき
名詞
標準
文例 · 用例
「侏儒の言葉」は、言はば頭脳の機智だけで――しかも機智を誇るために――書いた文学で才人としての彼の病所と欠点とを、露骨に出したやうな文学であつたが、同じやうにまた彼の俳句も、その末梢神経的の凝り性と趣味性とを、文学的ヂレツタンチズムの衒気で露出したやうなものであつた。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫
次の二つの句もやはり同じやうに観察の細かさと技巧の凝り性を衒つた句で、末梢神経的な先鋭さはあるとしても、ポエヂイとしての真実な本質性がなく、やはり頭脳と才気と工夫だけで造花的に作つた句である。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫
神経的、或は潔癖精神的に幻想のげにも脆い臍の緒を掴へることによつて、心境の一断想を歌ふばかりである。
— 中原中也 『音楽と世態』 青空文庫
不細工な粗放な線が出ているかと思うとまた驚くべく繊巧な神経的な線が現われている。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
妾は佐野の顔色をうかがうと、彼は首を縦に振って神経的な顔に微笑をして呉れましたので、妾は立上ると踊の場面を抜けて、給仕の後から黒塗りの日本の履物の音を立てたのです。
— 吉行エイスケ 『バルザックの寝巻姿』 青空文庫
――私の一人相撲はそれとの対照で段々神経的な弱さを露わして来ました。
— ――或る私信―― 『橡の花』 青空文庫
あれを個人と対談してひどく神経的になる時の女々しく執拗な氏に較べると実に格段の相違がある。
— 岡本かの子 『鶴は病みき』 青空文庫
いや、好奇心は無論あったにせよ、はっきり新内語りの細君で、しかも蜂谷重吉の情婦だと判った女の部屋へ押しかけることは、もはや神経的に出来なかった。
— 織田作之助 『夜の構図』 青空文庫