懸河
けんが
名詞
標準
文例 · 用例
懸河の弁を尽くしたものさ。
— 国枝史郎 『開運の鼓』 青空文庫
レストランN亭のコック藤次郎は、いつかは一かどの弁護士になって懸河の弁を法廷で振うつもりでいた。
— 浜尾四郎 『夢の殺人』 青空文庫
それも病院へ行って聞けば分る事です」 支倉は一度喋り出すと文字通り懸河の弁で、滔々数十分、言葉巧に当時の状況を説き来り説き去り、最後に、「左様な事実で、貞を強姦したる事もなく、又殺害したる事実もないのであります」 とつけ加えて、漸く長広舌を終った。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
ああ、偉大なる露西亜の胡瓜は……』と懸河の弁を振っていました。
— 芥川龍之介 『不思議な島』 青空文庫
その金十郎が、なにげなく立小便をしている頭上へ、思いがけなくも懸河の勢いで落ちかかって来たものがあるのですから、金十郎も驚き且つ大いに怒らざるを得ません。
— 恐山の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
彼女の不意な気色ばみよう、それから私の難民救済の希望に関する場所がらわきまえぬ懸河の弁、この二つはいくら内輪に見積っても時宜に適せぬものであった。
— ЖЕНА 『妻』 青空文庫
何を訊いても、いや、訊いたことには一向答へずに、自分の言ひ度いことだけを、懸河の辯舌でまくし立て、一向人に要領を得させないといふ、不思議な雄辯家です。
— 女御用聞き 『錢形平次捕物控』 青空文庫
もちろん相手が国老だし、忠言でもしようものならすぐ癇癪を起して、地錦抄だの、草木育種だの、石植譜だのというたね本を持ちだして来て懸河の弁を見舞われる、それで敬遠して、みんなみごとだおみごとと褒めるばかりだから、だから老人すっかり天狗になっているというわけだった。
— 山本周五郎 『明暗嫁問答』 青空文庫